生きるのがつらい。―「一億総うつ時代」の心理学 (平凡社新書)



生きるのがつらい。―「一億総うつ時代」の心理学 (平凡社新書)
生きるのがつらい。―「一億総うつ時代」の心理学 (平凡社新書)

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ホントにつらいです。生きるのって・・・

著者は「つらさを乗り越えるのではなく、つらさとともに生きていく。」ことが「生きるのが
つらい」ことに対する解決策だと述べています。

「悩みは悩みとして受けとめてそれを抱えたままどうやって生きていくか。悩んで悩みぬき
”大いなるいのち”に生かされている実感に達する、そこまではのたうちまわるほかない。」
とも言っています。

そのための技法の一つとして「フォーカシング:小さなことからひとつづつ解決して行こう」
という方法が紹介されています。

また、弱音を見せる相手、ただ黙って受けとめてくれる存在が必要だと著者は言います。

最終的には自分の中の否定的な感情をただそのまま認めていく、”うちなるカウンセラーづく
り”に至れば、苦しさともつらさとも折り合いをつけて生きていけるというのが著者の主張です。
そこに至るための方法を著者の経験も交えながら(著者も何年もつらさとつきあってきたと書
かれています。)紹介しています。


私は、もう5年もうつ病で苦しんでいます。ホントに生きるのってつらいです。自分の中で
フォーカシングに似た方法を自然と見につけていました。でも、小さな悩みは解決できます
が、根本的な大きな悩みはなかなか解決しません。解決できない悩みはどこかに置いて来た
方がいいと著者は言っていますが、それができていればうつ病なんかにはならないでしょう?

あとは誰かに黙って受けとめてもらえと言われてもつらいです。一緒にのたうち回ってくれ
なくても、ただ見守ってくれる人、そんな人がいた方がいいに決まっています。
でも、わたしはうつ病が原因でパートナーと離婚しました。

とまあ、「そんなこと言われても」という部分もありますが、自分が病と闘って来た過程と
照らし合わせてみて、この本で言われていることは腑に落ちる部分が多かったのは本当です。


ありのままに受け止める

≪乗り越えよう,解決しようとしても,乗り越えられないかもしれないし,解決への道は開けないかもしれません。
 むしろ,「つらさをつらさとして,そのまま受け入れていく」ことが大切です。つらくて仕方がないという人の人生が変わるのは,「この問題は解決しないかもしれない。でもこれを受け入れていくしかない」と事実を事実として,そのまま受け入れることができるようになったときではないでしょうか。≫(99?100頁)

 上記の基本的な考え方を種々の表現で説明し,かつ,具体的なヒント(「心の整理図」ワークシート,論理療法,カウンセリングの基本スキルなど)を紹介している。ざっと読めるように簡略化されてはいるが,結構実践的に役立つ内容なのではなかろうか。
 たとえば,カウンセリングの基本スキルは,オーバーなくらいしっかりうなづき,「なるほど」「それで」と合いの手を入れながら聞いてあげること,「こうしたらどう」など余計なアドバイスは一切せず,聞くことに徹すること,など。どれも当たり前のことではあるが,そうした基本的なマナーを知っているのと知らないのとでは,悩んでいる人への接し方も随分と違ってきそうである。


解きほぐしてくれる

いまだに、うつ病が偏見のまなざしで見られている今日、多くの皆さんがこの本を呼んで欲しいと思う。「心の風邪」であるうつ病を、がんばりが足りない怠け者と一蹴することは避けて欲しい。うつ病の人に「がんばれ」と言うことは、足を骨折している人に「走れ!」と言っているようなもの・・・・ということを、理解して欲しい。多くの人が苦しんでいる「うつ」について、解きほぐしてくれる本である。
この本は、自分が否定される瞬間を待っている。

 本書では現在、一定数の人間が抱え込んでいると思われる、名状し難い「つらさ」に関わる心の問題をやり過ごす方策と環境整備を紹介しています。悩みは心のあり方に起因するとの主張が基軸にあり、その上で論理療法や「心の整理図」など、不定形な心の圧迫感や行き場の無さを上手く論理化する手法が紹介されます。

 手法自体は有用だと思いますが、但し著者はあくまでカウンセリングの専門家であり、本書も上述の通り、専ら個々人の心のあり方を問うものです。従って本書が提示する処方箋は、現実上の諸問題を根本からは解決しません。理屈としては逆に家族・会社・社会生活の端々に現れる理不尽さに対して目を瞑る、心の問題にすりかえる、と言う態度を導く可能性も有り得ます。見栄もプライドも捨てて早期相談すべきと言う善意の指摘も、個人の尊厳より共同体の安定が優先されている気がして賛成しかねました。

 とはいえ実際に困難が感得される以上、こうした対処が必要なのも確かなことです。全ての悩みを自分の心の姿勢に還元しきらず、かといって他者への責任転嫁にも慎重に、一歩ずつ対処することを念頭に置くならば、本書は適切な処方箋として利用できると思います。

 ですが。クリティカルな「つらさ」をやり過ごす、と言う最低限のセーフティネットを用意することが本書の役割である限り、やはりこの本は最終的には否定されねばならないと思います。結局それは、自分の心を整理しつつ、生きていく上で何がしたいのか、現実に誰に何ができるのか、を段階的に考えるための前提でしかないのですから。単に独り生かされているだけ、自分の身を守るだけの人生なら、それを必要とする人は余り居ないでしょう。

 できるならば。
 「この本は、これから生きる私にはもう必要ない」

 著者には申し訳ないことですが、最後には読者にそう言われることが、本書の最も幸せな読まれ方ではないか。そう思います。
今の自分を認める力、弱音を吐ける力を蓄えよう。

   職場でも家の周りでも、ウツといわれる人をよく見かけるようになりました。その人たちと話す時は、言うことに気を使います。また、努めてただ聞こうとしています。でも、つい無意味な助言や励ましを言ってしまい、愚かな自分を責めることがあります。その挙げ句に自分も疲れ心も萎えます。ウツに近づく自分を感じます。本書の言う通り、自分が健康であることが本当の介助になるのだと自戒することが良くあります。

  ウツの対処法として、著者が勧めているのは、自分の内側のネガテイブな気持ちに居場所を与える。否定しない。ということです。自分の中のつらい感情を、そこにあると認めて、観照していく。そのウツ感情を克服したり追い出すのではなく、自分と少し距離をとって、ただそのまま自分の中にあることを認めて、上手く付き合っていく方法です。

  ウツの人と話していると、何事もセネバナラナイと考える傾向、病因を考えすぎる傾向、プライドを捨てきれない傾向、自分に課すハードルが高すぎる傾向などがあることを、著者の言うとおり確かに感じます。このような傾向の人が、著者の言うことを認めるのは簡単ではないなと思います。病気の人が本書を読んで、この方法を具体的にどう実現出来るのか。気づくのは自分としても、そこに至るには他者の力が絶対に必要だと思いました。

  ウツの人と関わる者にとっては、ウツ病回復の方向性と目標地点を明確に書いている本書は、一読の価値があります。



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